集客にかけた費用を売上に変えられるかどうかは、最後に受注率で決まります。反響が同じでも受注率が5%違えば、年間の契約件数と粗利は大きく変わります。ここではリフォームの受注率について、計算方法と工程ごとの見方、上がらないときに疑うべき分岐点、そして商談を決めきるための具体的な方法まで解説します。
受注率(成約率)とは、商談のうちどれだけを契約に結び付けられたかを示す指標です。リフォーム営業では「契約件数 ÷ 見積提出件数 × 100」で算出するのが基本です。分母を問い合わせ件数に置くと集客の質の影響を強く受けるため、営業活動そのものの実力を見たいときは見積提出件数を分母に取ります。社内で分母の定義がそろっていないと、担当者間や月次の比較ができなくなるため、まず計算式を統一することが出発点になります。
受注率を1つの数字として眺めているだけでは、改善すべき場所が特定できません。反響獲得から契約までを工程に分解し、どの工程で件数が落ちているかを見ることで、打つべき手が具体的になります。
| 見る工程 | 指標 | 落ち込んでいる場合に疑うこと |
|---|---|---|
| 問い合わせ → 現地調査 | 現地調査化率 | 初動の返信スピード、日程調整のしやすさ |
| 現地調査 → 見積提出 | 見積提出率 | 提出までの日数、案件の抱え込み |
| 見積提出 → 契約 | 受注率 | 提案内容、比較のされ方、クロージング |
| 契約 → 売上 | 受注単価・粗利率 | 値引きの多さ、原価の見積精度 |
工程ごとに数字を持つと、「受注率が低い」という漠然とした課題が「現地調査までは進むが、見積提出後に決まらない」といった具体的な形に変わります。
受注率は値引きをすれば短期的に上げられます。しかし値引きで積み上げた受注率は粗利率の低下と表裏一体で、契約件数が増えているのに利益が残らない状態を招きます。受注率は必ず受注単価と粗利率とセットで確認し、「利益を確保したうえで受注率が上がっているか」で評価してください。逆にいえば、提案の速さや商談の進め方で受注率を上げられれば、粗利を削らずに売上を伸ばすことができます。
問い合わせを受けてから連絡までに数日空くと、その間に他社が現地調査を終えてしまいます。リフォームの依頼先は、最初に現地を見て具体的な話をした会社が有利になりやすく、初動の遅れは商談に乗る前の敗因になります。反響対応のルールが決まっていない会社では、担当者の稼働状況によって初動速度がばらつくため、まず一次連絡の期限を社内で定めることが必要です。
リショップナビが2018年にリフォーム経験者240名を対象に行った調査では、78.3%が業者選びで「複数業者を比較するべきだった」と回答しています。相見積もりは例外ではなく前提だと考えるべき状況です。そのうえで、自社の見積書が他社と並べられたときに何を根拠に選ばれるのかが整理できていなければ、比較の土俵で価格だけが判断材料になってしまいます。
現地調査、見積提示、修正見積、契約と商談が4回に分かれれば、その都度日程調整が必要になり、契約までに数週間かかります。検討の熱量は時間の経過とともに下がるため、商談回数が多いこと自体が受注率を押し下げる要因になります。また1件あたりの商談回数が多いほど営業担当者が同時に抱えられる案件数は減り、対応の遅れという別の失注要因も生みます。
受注率が伸びない会社では、要望だけを聞いて見積を作り、金額を見せてから予算が合わないと判明するケースが少なくありません。初回接触の段階で希望予算の幅、工事を実施したい時期、同居家族を含めた決裁の関与者を確認しておけば、提案の方向性を外さずに済みます。
見積を1案だけ出すと、顧客の判断は「この会社に頼むか、頼まないか」の二択になります。仕様や範囲を変えた複数案を用意すれば、判断が「どの案にするか」に移り、自社の中で検討が進みます。業界紙でも、グレードを分けた3種類の見積を提示する手法が成約率向上策として紹介されています。あわせて、各案の違いが金額だけでなく仕様・工事範囲の差として読み取れるように内訳を示すことが重要です。
リフォーム評価ナビが2019年に利用者426名へ実施したアンケートでは、事業者選択で重視する点として「口コミの内容が良い」が60%、「希望するリフォーム工事の実績が多い」が55%と、価格以上に実績と評判が挙げられています。仕上がりの完成イメージ、同種の工事の実績、工事後の対応方針といった価格以外の材料を商談の場でそろえておくことが、値引き以外の決め手になります。とくに完成イメージをその場で見せられるかどうかは、顧客が仕上がりを具体的に想像できるかを左右します。
顧客が納得したその場で手続きまで進められる状態を用意しておくことが、受注率の改善に直接効きます。現地調査の場で完成イメージ・見積・契約書までを提示できれば、持ち帰りによる検討熱の低下と、その間の他社への流出を防げます。その場で結論が出ない場合も、あらためて訪問せずに契約手続きへ進める手段を用意しておけば、日程調整で日数を空けずに契約まで到達できます。判断材料と手続きの手段をあらかじめ両方そろえておくことが、商談回数を減らすための条件です。
失注した案件の理由が記録されていないと、価格・提案内容・対応速度のどこに原因があったのかを判断できず、改善が担当者ごとの感覚に留まります。「金額が合わなかった」「他社の提案のほうが具体的だった」「連絡が遅れた」といった理由を分類して蓄積すれば、受注率を上げるために社内で優先すべき打ち手が数字で見えてきます。記録が個人のメモに留まると共有されないため、案件情報と同じ場所に残す運用が前提になります。
ここまで挙げた打ち手は、いずれも「必要な情報が、必要なタイミングで、必要な場所にある」ことが前提です。過去の見積データ、顧客ごとの対応履歴、失注理由が担当者の手元に散っている状態では、商談の場で判断材料を出すことも、工程ごとの数字を追うこともできません。
リフォーム見積システムを導入すれば、案件ごとの見積・書類・工事履歴を一元管理でき、過去の類似案件をもとに複数案の見積を短時間で用意できます。案件ごとのステータスを共有できるため、現地調査化率や見積提出率といった工程別の指標も把握しやすくなります。さらに、現場でそのまま見積書を作成し、電子契約まで完結できるシステムであれば、商談回数を減らし、顧客が納得したその場で契約へ進める体制を整えられます。
その場で契約まで完結できる体制は、まだ多くの事業者が着手していない領域であり、先に整えることが受注率の差につながるでしょう。
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